2025.4.17

インプラント

奥歯のインプラントは難しい?メリット・デメリットを解説

奥歯のインプラント治療をお考えですか?奥歯は咬む力が強くかかる部分のため、治療の難易度や注意点が前歯とは異なります。この記事では、奥歯のインプラント治療について、メリットやデメリット、治療の流れや費用、そして成功のための注意点までを詳しく解説します。治療を検討されている方はぜひ参考にしてください。

奥歯のインプラント治療とは?

奥歯のインプラント治療とは、失った奥歯の代わりに人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を装着する治療法です。特に奥歯は咀嚼の中心となる部位であるため、機能回復が重要です。また、見えにくい部位ではありますが、噛み合わせ全体のバランスに大きく影響します。

奥歯のインプラント治療の流れ

奥歯のインプラント治療は一般的に次のような流れで進みます。

  1. 1.初診・診断: レントゲンやCTで骨の状態を確認し、治療計画を立てます
  2. 2.インプラント埋入手術: 局所麻酔下で顎の骨にインプラント体を埋め込みます

その後、骨とインプラントが結合する「オッセオインテグレーション」と呼ばれる期間(通常2〜6か月)を経て、最終的な人工歯を装着します。奥歯は咬む力が強くかかるため、しっかりと骨と結合させることが特に重要です。

奥歯のインプラント治療の費用相場

奥歯のインプラント治療の費用は、使用する材料や医院によって異なりますが、一般的に以下のような費用がかかります。

  • インプラント1本あたり:30〜50万円程度
  • 骨の量が少なく骨造成が必要な場合:追加で10〜20万円程度

また、奥歯は咬む力が強くかかるため、より頑丈な材質を選ぶことが推奨される場合もあり、その場合は費用が高くなることがあります。なお、インプラント治療は自由診療のため、保険適用外となります。

奥歯のインプラントのメリット

奥歯のインプラント治療には、他の治療法と比較して多くのメリットがあります。インプラントは人工歯根を骨に直接固定するため、自然な噛み心地と見た目を実現し、周囲の健康な歯への負担も軽減できます。特に奥歯は咬む力の中心となるため、この部位での機能回復は食生活の質に直結します。

他の治療法と比較したインプラントのメリット

インプラントは、ブリッジや入れ歯と比較して以下のようなメリットがあります。

治療法周囲の歯への影響見た目・使用感耐久性メンテナンス
インプラント周囲の歯を削らない自然な見た目と噛み心地15年以上通常の歯と同様のケア
ブリッジ両隣の健康な歯を削る比較的自然5〜10年通常の歯と同様だが、特殊な清掃が必要
部分入れ歯支えとなる歯に負担違和感あり3〜7年取り外して毎日洗浄が必要

特に奥歯の場合、咬む力が強くかかるため、インプラントの耐久性と安定性は大きなメリットとなります。

自然な見た目と噛み心地

インプラントは歯根から人工歯を支えるため、非常に自然な見た目と噛み心地を実現できます。奥歯は直接見えにくい部位ですが、以下の点で優れています。

  • 天然歯と同様の強い咀嚼力が得られる
  • 違和感なく食事を楽しめる
  • 発音にも影響が少ない

特に硬いものや粘り気のあるものを咬む際に、インプラントは入れ歯と比べて圧倒的に安定した使用感があります。

周囲の歯への負担が少ない

インプラント治療の大きなメリットは、周囲の健康な歯を犠牲にしないことです。具体的には

  • 隣接する健康な歯を削る必要がない
  • 支えとなる歯に過度の負担をかけない
  • 健康な歯を長く保存できる

特に奥歯の場合、ブリッジにすると健康な歯を大きく削らなければならないケースが多いため、インプラントによる負担軽減は長期的な口腔健康に大きく貢献します。

奥歯のインプラントのデメリットとリスク

奥歯のインプラント治療には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットやリスクも存在します。手術が必要なことや治療期間の長さ、高額な費用に加えて、奥歯特有のリスクもあります。治療を検討する際には、これらを十分に理解した上で判断することが重要です。

手術が必要

インプラント治療では外科手術が必要となります。

  • 局所麻酔下での顎の骨への穴あけ手術
  • 手術後の腫れや痛みが数日間続くことがある
  • 手術に対する不安や恐怖感

特に奥歯は口を大きく開ける必要があるため、手術の際に患者さんの負担が大きくなることがあります。また、奥歯は視認性が低いため、医師の技術がより重要になります。

治療期間が長い

インプラント治療は、即日で完了するものではありません。

  • 埋入手術から最終的な人工歯装着まで通常3〜6か月
  • 骨造成が必要な場合はさらに3〜6か月延長

奥歯は咬む力が強くかかるため、前歯よりも長めのオッセオインテグレーション期間(骨結合期間)を設けることが多く、治療完了までの時間が長くなりがちです。

費用が高い

インプラント治療は高額な治療費がかかります。

  • 1本あたり30〜50万円程度
  • 保険適用外の自由診療
  • メンテナンスにも定期的な費用が必要

奥歯は咬む力が強いため、より高品質な材料を使用することが推奨され、その分費用が高くなることがあります。

インプラント周囲炎のリスク

インプラントにも歯周病に似た「インプラント周囲炎」というリスクがあります。

  • プラークの蓄積による炎症
  • 進行すると骨の吸収を引き起こす
  • 最悪の場合、インプラントの脱落につながる

特に奥歯は清掃が難しい部位であるため、インプラント周囲炎のリスクが高まります。毎日の丁寧なケアと定期的なメンテナンスが重要です。

上顎洞炎などの合併症リスク(上奥歯の場合)

上の奥歯のインプラント治療では、特有のリスクがあります。

  • 上顎洞(サイナス)に近接しているため上顎洞炎のリスク
  • 骨の量が少ないことが多く、サイナスリフトなどの骨造成が必要になりやすい
  • 手術の複雑さが増すことによる合併症リスクの上昇

こうしたリスクは医師の技術と経験によって大きく左右されるため、専門性の高い医師を選ぶことが重要です。

下顎管への損傷リスク(下奥歯の場合)

下の奥歯のインプラント治療では、下顎管への損傷リスクがあります。

  • 下顎管には神経や血管が通っており、損傷すると感覚異常が生じる可能性
  • 術前のCT検査で下顎管の位置を確認することが必須
  • 重度の場合、しびれが長期間または永続的に残ることも

この部位のインプラント治療では、より慎重な術前診断と正確な手術計画が求められます。

奥歯のインプラント治療の成功率と予後

奥歯のインプラント治療は、適切に行われれば高い成功率を示します。しかし、その成功率は様々な要因に影響されるため、治療前の評価と治療後のケアが重要です。また、インプラントの寿命を延ばすためには、定期的なメンテナンスが不可欠であることを理解しておきましょう。

成功率に影響する要因

インプラント治療の成功率に影響する主な要因には以下のようなものがあります。

  • 骨の量と質: 十分な骨量と良好な骨質があるかどうか
  • 全身疾患: 糖尿病や骨粗しょう症などの有無と管理状態
  • 喫煙習慣: 喫煙者は非喫煙者と比較して失敗リスクが2〜3倍高い

特に奥歯の場合、咬む力が強くかかるため、これらの要因がより重要になります。例えば、骨量が不足している場合は骨造成が必要となり、治療の難易度が上がります。

インプラントの寿命

適切に管理されたインプラントの寿命は長期にわたります。

  • 研究によると10年生存率は90〜95%程度
  • 適切なケアを続ければ15〜20年以上持続することも

ただし、奥歯は咬む力による負担が大きいため、上部構造(人工歯の部分)は前歯よりも早く摩耗することがあります。また、インプラント自体は半永久的でも、上部構造は10年程度で交換が必要になるケースもあります。

定期的なメンテナンスの重要性

インプラントの長期成功には、定期的なメンテナンスが不可欠です。

  • 3〜6ヶ月ごとの定期検診が推奨される
  • プロフェッショナルクリーニングによるプラーク除去
  • 早期の問題発見と対応

特に奥歯は自分で見えにくく清掃も難しいため、定期的に歯科医院でチェックを受けることが重要です。メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。

奥歯のインプラント治療後のケア

奥歯のインプラント治療の成功と長期的な維持には、適切な日常ケアと定期的な歯科検診が欠かせません。特に奥歯は自分では見えにくく、清掃も難しい部位であるため、より丁寧なケアが必要です。ここでは、インプラント治療後に実践すべきケア方法と定期検診の重要性について解説します。

日常のケア方法

インプラント治療後の日常ケアは、天然歯と同様に重要ですが、いくつか特別な注意点があります。

  • 歯ブラシ: ソフトブラシを使い、インプラント周囲を丁寧に磨く
  • デンタルフロス: 専用のインプラントフロスを使用すると効果的

特に奥歯のインプラントは歯ブラシが届きにくいため、歯間ブラシを併用することで効果的に清掃することができます。毎日の丁寧なケアがインプラントの寿命を大きく左右します。

定期検診の重要性

インプラント治療後は、定期的な歯科検診が非常に重要です。

  • 3〜6ヶ月おきの定期検診を受ける
  • インプラント周囲の健康状態をチェック
  • プロフェッショナルクリーニングによる専門的な清掃

定期検診では、レントゲン検査によりインプラント周囲の骨の状態も確認します。問題があれば早期に発見・対処することで、インプラントを長持ちさせることができます。特に奥歯は自分では確認しづらいため、専門家による定期的なチェックが欠かせません。

7番(奥歯)のインプラント治療の注意点

7番(第二大臼歯)のインプラント治療には、特有の注意点があります。この部位は最も奥に位置する歯(親知らずを除く)であり、治療の難易度が高い場所です。7番のインプラント治療を検討する際には、以下の点に特に注意が必要です。

まず、アクセスの難しさが挙げられます。口を大きく開けても医師の視野や器具の操作スペースが限られるため、治療の難易度が上がります。また、上顎の7番は上顎洞との距離が非常に近いため、骨の量が少なく、サイナスリフトなどの骨造成が必要になることが多いです。

下顎の7番は下顎神経との位置関係に注意が必要です。神経に近すぎると、しびれなどの合併症リスクが高まります。さらに、7番は清掃しにくい位置にあるため、治療後のセルフケアが難しく、インプラント周囲炎のリスクが高まります。

これらの理由から、7番のインプラント治療は専門的な知識と技術を持つ医師による慎重な術前診断と正確な治療計画が特に重要となります。

インプラント治療に適さないケース

インプラント治療は多くの方に適していますが、すべての人に適した治療法ではありません。以下のような場合は、インプラント治療が適さないか、注意が必要となります。

  • 全身疾患がある場合: 糖尿病(特に血糖コントロールが不良な場合)、骨粗しょう症、心疾患、血液疾患などがある方は、リスクが高まることがあります。
  • 重度の喫煙習慣がある方: 喫煙は血流を悪化させ、インプラントの失敗リスクを2〜3倍高めます。

また、骨量が極端に少ない場合も注意が必要です。特に奥歯の場合、上顎洞や下顎管との位置関係で骨の高さに制限があることが多いです。骨造成が可能でも、治療期間の延長や費用の増加、合併症リスクの上昇につながります。

さらに、強い歯ぎしりや食いしばりがある方は、インプラントに過度な力がかかるためリスクが高まります。特に奥歯のインプラントは、この影響を受けやすい部位です。

まとめ:自分に合った治療法を選択するために

奥歯のインプラント治療は、失った奥歯の機能と見た目を自然に回復できる優れた治療法ですが、すべての方に適しているわけではありません。治療を検討する際は、メリットとデメリットを十分に理解し、自分の状況に合った選択をすることが重要です。

インプラント治療の主なメリットは、自然な噛み心地と見た目、周囲の歯への負担の少なさ、長期的な安定性などが挙げられます。一方で、デメリットとしては、手術が必要なこと、治療期間が長いこと、費用が高いことなどがあります。

特に奥歯のインプラントでは、上顎洞や下顎管との位置関係、清掃のしやすさなど、特有の注意点があります。治療を検討される際は、信頼できる専門医に相談し、CT検査などで詳細な診断を受けることをおすすめします。

最終的には、ご自身の口腔内の状況、全身の健康状態、生活習慣、費用面での考慮など、様々な要素を総合的に判断して、最適な治療法を選択しましょう。それが長期的な口腔健康と快適な生活につながります。

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この記事の監修医師プロフィール

川越 亮利 先生

医療法人Saraswati 川越歯科医院 理事長 / 歯科医師 川越 亮利 (Akitoshi Kawagoe)

専門分野:インプラント治療 / 補綴治療(入れ歯・義歯) / 予防歯科

広島大学第2補綴科での臨床研修を経て、海外大学(Indonesia Mahasaraswati University)にてインプラント科の客員講師を務めた経歴を持つ歯科医師。
国内の学会活動に加え、海外での歯科ボランティアや技術指導にも精力的に参加。現地の限られた環境下での治療経験や、学生への指導経験を活かし、難症例にも対応可能な「長持ちするインプラント治療」を探求し続けている。
現在は広島市中区江波にて、地域医療と世界レベルの技術の融合を目指して診療を行う。

【主な所属・資格】
  • Mahasaraswati University 補綴科・インプラント科 元客員講師
  • KISS(Kansai Implant Study Society)所属
  • 広島大学第2補綴科 臨床研修医 修了
  • 月星先生CEセミナー アドバンスコース修了

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