2026.6.12
インプラント
インプラント治療が終わり、しばらくは快適に過ごしていたのに、ある日突然「噛むと痛い」と感じた経験はありませんか?
高額な費用をかけて入れたインプラントに痛みや違和感が出ると、「このまま放っておいて大丈夫?」「また手術が必要になるの?」と不安になるのは当然のことです。
この記事では、インプラントで噛むと痛い主な原因と、痛みを放置した場合のリスク、そして歯科医院での治療内容や再発防止のためのセルフケアについて、わかりやすく解説します。

インプラントで噛むと痛い主な原因
インプラントで噛むと痛みが出る場合、その原因はひとつとは限りません。以下に代表的な5つの原因を解説します。
インプラント周囲炎による細菌感染と骨吸収
インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲の歯ぐきや骨が細菌感染によって炎症を起こす状態です。天然歯の歯周病に非常によく似た病気で、インプラント治療後に起こるトラブルの中でも特に多い原因のひとつです。
歯みがきが不十分な場合や、定期検診を受けていない場合に発症しやすくなります。進行すると、インプラントを支えている顎の骨が少しずつ溶けていく(骨吸収)ため、噛んだときの痛みや違和感につながります。
初期段階では自覚症状がほとんどないことも多く、痛みが出たときにはすでにある程度進行しているケースも少なくありません。
噛み合わせの不適合による過度な負担
インプラントの被せ物(人工歯)の高さや形が、対面する歯とうまく噛み合っていない場合、特定の部分に過度な力が集中します。
この状態が続くと、インプラント本体や周囲の骨に繰り返し強い力がかかり、痛みや違和感が生じることがあります。治療直後は問題なくても、時間の経過とともに他の歯が移動したり、歯ぎしり・食いしばりの習慣があったりすることで、噛み合わせがズレてしまう場合があります。
人工歯を固定するスクリューの緩みや破損
インプラントの人工歯は、小さなスクリュー(ネジ)でインプラント体に固定されています。このスクリューが長年の使用によって緩んだり、折れてしまうことがあります。
スクリューが緩むと人工歯がわずかに動くようになり、噛むたびにズレや痛みを感じるようになります。見た目には変化がないことが多いため、痛みが出て初めて気づくケースがほとんどです。
隣接する天然歯の虫歯や歯周病の波及
インプラント自体に問題がない場合でも、隣り合った天然歯に虫歯や歯周病が起きていると、その炎症や痛みがインプラント周辺に広がって感じられることがあります。
「インプラントが痛い」と思っていたら、実は隣の歯が原因だったというケースも珍しくありません。自分では判断が難しいため、歯科医院でしっかり診てもらうことが大切です。
歯科医院を受診すべき緊急性の判断基準
痛みや違和感があっても、「すぐに行くべきか、少し様子を見ていいか」と迷う方も多いと思います。以下のサインが出ている場合は、早めに受診することをおすすめします。
歯ぐきの腫れや出血を伴う場合の危険度
噛んだときの痛みに加えて、インプラント周囲の歯ぐきが腫れている・赤くなっている・歯みがきや食事のたびに出血するといった症状がある場合は、インプラント周囲炎が疑われます。
こうした症状は自然に治ることはほとんどなく、放置すると骨の吸収が進んでしまいます。できるだけ早めに歯科医院を受診してください。
インプラント本体の揺れを感じる際の即時対応
インプラントがグラグラと揺れていると感じる場合は、緊急性が高い状態です。インプラントを支える骨が大きく失われている可能性があり、そのまま放置するとインプラントが脱落してしまう危険性があります。
この場合はすぐに歯科医院に連絡し、早急な対応をお願いしましょう。
膿の流出や拍動性の痛みがある重症サイン
インプラント周囲から膿が出ている、または「ズキズキ・ドクドク」と脈打つような拍動性の痛みがある場合は、感染が重症化しているサインです。
このような状態では、一刻も早く受診することが必要です。抗生物質の投与など、緊急の処置が必要になる場合があります。
痛みを放置した場合に起こる重大なリスク
「少し様子を見よう」と思って放置し続けると、取り返しのつかない事態になることがあります。
インプラント脱落と再埋入手術不能の可能性
インプラント周囲炎などが進行すると、インプラントを支える骨が失われていき、最終的にインプラントが脱落してしまうことがあります。
さらに深刻なのは、骨が大きく失われた状態では再びインプラントを埋入することが難しくなるという点です。再手術のためには骨を補う処置(骨造成)が必要になり、治療の期間や費用が大幅に増えることになります。
顎の骨が溶け出すことによる顔貌の変化
骨吸収が広範囲に及ぶと、顎の骨の厚みや高さが変わり、顔の輪郭や口元の見た目に影響が出ることもあります。
また、隣の天然歯を支える骨にも影響が及ぶ可能性があり、インプラントだけの問題では済まなくなるリスクもあります。痛みがある段階で対処することが、口全体の健康を守ることにつながります。
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歯科医院で行う具体的な治療と処置内容
歯科医院を受診した場合、症状の程度に応じて以下のような処置が行われます。
専用器具を用いた機械的洗浄と殺菌処理
インプラント周囲炎の初期〜中程度の場合、インプラントの表面に付着した細菌の塊(バイオフィルム)を専用の器具で取り除く洗浄処置が行われます。
天然歯の歯石除去と似た処置ですが、インプラントの素材を傷つけないよう、特別な器具を使う必要があります。同時に、薬液などを使った殺菌処理を行うこともあります。
噛み合わせ調整と人工歯の再装着
噛み合わせのズレが原因の場合は、人工歯の形や高さを調整して、バランスよく力が分散されるようにします。
スクリューの緩みや破損が確認された場合は、スクリューを締め直すか、新しいものと交換します。人工歯そのものが破損している場合は、作り直して再装着する処置が行われます。
重度インプラント周囲炎への歯周外科治療
洗浄だけでは改善が難しい重度のインプラント周囲炎の場合、歯ぐきを切開して直接洗浄・殺菌する外科的処置(歯周外科治療)が必要になることがあります。
この処置では、溶けた骨を再生するための治療(骨造成)を同時に行うこともあります。重症化すると治療の負担も大きくなるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
再発を防ぐためのセルフケアと定期検診
治療が終わった後も、再発を防ぐための日常ケアと定期検診が欠かせません。

歯間ブラシやフロスによるプラークコントロール
インプラント周囲炎の主な原因は細菌です。歯ブラシだけでは落とせない歯と歯の間の汚れを、歯間ブラシやデンタルフロスを使って毎日丁寧に取り除くことが大切です。
特にインプラント周囲は磨き残しになりやすい場所です。歯科医師や歯科衛生士に、自分の口に合ったケア用品の選び方や正しい使い方を教わるようにしましょう。
歯科医院での定期的なクリーニング
家庭でのセルフケアだけでは、すべての汚れを落とすことには限界があります。定期的に歯科医院を受診して、クリーニングを受けることが、インプラントを長持ちさせるためのポイントです。
一般的には3〜6ヶ月に一度の受診が目安とされています。定期検診では、インプラントの状態の確認や噛み合わせのチェックも行ってもらえるため、異常の早期発見にもつながります。
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インプラントの痛みに関するよくある質問
治療から数年経過して痛む理由
「インプラントが入って数年は何ともなかったのに、なぜ今になって痛むの?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。
インプラント周囲炎は、治療直後ではなく数年後に発症・進行するケースが多い病気です。日々の歯みがきや定期検診が不足していると、少しずつ細菌が蓄積され、気づいたときには症状が出ている状態になっていることがあります。
また、噛み合わせのズレやスクリューの緩みも、長年の使用による累積的なダメージが原因で起こることが多いため、治療後数年が経過した頃に症状が現れやすくなります。
メーカー保証制度の適用条件
インプラントのメーカーや歯科医院によっては、インプラント体(骨に埋め込む部分)に対する保証制度が設けられている場合があります。
ただし、保証が適用されるためには、一般的に以下のような条件が設けられていることが多いです。
- 定期検診を継続して受診していること
- 指定されたケア用品を使用していること
- インプラント周囲炎など感染が原因ではないと判断されること
保証の内容や適用条件は、歯科医院やメーカーによって大きく異なります。詳しくは治療を受けた歯科医院に直接確認することをおすすめします。
まとめ
インプラントで噛むと痛い場合、インプラント周囲炎・噛み合わせのズレ・スクリューの緩み・隣の歯のトラブルなど、さまざまな原因が考えられます。放置すると骨の吸収が進み、インプラントの脱落や再手術が必要になるリスクがあります。歯ぐきの腫れ・出血・揺れ・膿などのサインが出たら、早めに歯科医院を受診しましょう。日頃からの丁寧なセルフケアと定期検診が、インプラントを長持ちさせる最大の予防策です。
